ピリナッツとは
ピリナッツはピリという木から採れる木の実です。ピリの木はフィリピンに自生する常緑樹です。その高さは平均20mになります。
ピリの実は若い時は緑色をしていますが、熟すと黒く変色します。ピリナッツとして食べられるのはピリの実の中にある殻のそのまた中にある白い可食部です。大きなピリの実からとれる可食部はわずかです。下の図はピリの実の断面です。ピリの実には表面を熟すと黒くなる①表皮があり、その内側に柔らかい②果実があります。果実の中には固く厚い③殻があります。殻の内側にある繊維質の④皮で覆われた部分が⑤食べられる部分です。
下の図は左から固い殻、殻を割って繊維質の皮を露出させた状態、皮を剥いで食べる部分を露出させた状態です。
ピリナッツの殻はとても固く、手では割ることが出来ないため現地では鉈(なた)を使って器用に割っていきます。熟練した作業者の作業は高速です。
栄養成分
ピリナッツには、8種類の豊富なアミノ酸が含まれています。また、ピリナッツ100gに対して302mgのマグネシウムと含みます。その高い栄養価がフィリピンの先住民に知られていました。
栄養成分 | 100g当たり |
カロリー | 719kcal |
炭水化物 | 3.98g |
脂質 | 79.55g |
タンパク質 | 10.8g |
ビタミンA | 2ug |
ビタミンB1 | 0.913mg |
ビタミンB2 | 0.093mg |
ビタミンC | 0.6mg |
カルシウム | 145mg |
鉄 | 3.53mg |
マグネシウム | 302mg |
マンガン | 2.313mg |
リン | 575mg |
カリウム | 145mg |
ナトリウム | 3mg |
亜鉛 | 2.97mg |
出典:USDA Food Composition Databases
料理の材料として
ピリナッツには繊細な甘味があります。その味はスイーツにとてもよく合います。ピリナッツの特徴はその食感にあります。柔らかく、噛むと口の中で溶けてなくなるような食感があります。溶けてなくなる食感は他のナッツ類にない特徴です。どんな料理にもよく合いますが、特にスイーツの材料として使用することがお勧めです。柔らかい生地と一緒に食べても口に残りません。味と食感
ピリナッツと月餅
月餅は中国人にとってとても大切な食べ物です。中国では中秋節(旧暦の8月15日)に、月餅を食べながらお月見をすることが伝統となっているからです。月餅は地域によって特徴が異なります。その中の一つ、広東風月餅ではピリナッツを含む5種類のナッツ(ピリナッツ、クルミ、アーモンド、ひまわりの種、ゴマ)を加工して餡(アン)をつくります。月餅の原料に使用されることからもピリナッツと甘味の相性がよいことがわかります。